認定こども園に対する大阪保育運動連絡会の見解
2006年7月24日
(1)認定こども園は公的保育制度を崩すもの
今回の国会(第164国会)で認定こども園という新たな制度が決定された(「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」)。認定こども園というのは、一つの施設で、幼稚園と保育所、双方の役割をはたし、かつ、地域の子育て支援にも貢献する施設とされている。このような主旨には賛成であるが、制定された認定こども園には重大な問題がある。
まず一つめは、認定こども園が公的保育制度の重大な後退を招くという点である。認定こども園になると、認可保育所であっても以下の点で従来の認可保育所と大きく変わる。
@施設ごとに保育料を設定する
認可保育所の場合、市町村が保育料を決めるため、同一市町村内では、公立、私立を問わず、保育料は同じである。ところが、認定こども園は認可保育所であっても、施設ごとで保育料を定めることができる。そのため、認可保育所の保育料が市町村内でまちまちになる。
現時点では、市町村が定める保育料よりも高い金額を設定しても、その認定こども園の収益向上に直結しない。しかし、保育料を高く設定する、もしくは減免率を低くすることで、高額所得者中心の保育所にすることは可能である。その上で、英会話教室、スイミング教室などのオプションを付けることも考えられる。反対に、安い保育料を設定し、確実に利用者を集めることもできる。もちろん、コスト削減を図った分、保育内容のどこかにしわ寄せが生じる。
A入所決定選考が市町村単位から施設単位になる
現在、認可保育所の入所決定は市町村が行なう。もちろん、一方的に市町村が決めるのではなく、保護者が希望する施設をあらかじめ聞いた上で選考する。希望者が定員を上回った場合、市町村が定める基準に基づき、優先度の高い人から入所できる。ただし、希望は1ヶ所だけ聞くのではなく、通常は複数を聞いておき、たとえ第一希望がだめであっても、第二希望、第三希望で優先度を加味した選考が実施される。そうすることで、優先度が高いにもかかわらず、保育所に入れないという事態を避けている。このようなことが可能なのは、市町村が選考しているからである。
ところが、認定こども園は各施設ごとで選考を行う。その選考が公正に行われることは当然必要である。しかしそれらがきちんと実施されても、市町村が選考するように、全体で優先度の高い子どもを入所させるような仕組みは望めず、同一市町村内でより優先度の高い子どもが認可保育所に入れないという事態が発生する。
B保育料の滞納が退所に繋がる
認定こども園に子どもを行かせると、保育料はその保育所に直接、支払う。そのため、保護者が何らかの事情で保育料を滞納した場合、その保育所の収入に響く。国会でも問題になったが、そのようなことが発生した場合、認定こども園は子どもの退園を求めることができる。
このような事態に対して政府は、保護者が改めて保育所への入所申請を市町村に提出すれば、保育所へ入所できると答弁している。しかし、子どもと保育所の関係は、保育所に入りさえすればよい、という単純なものではない。子ども、保育士、保護者の信頼関係、子ども同士の関係など、様々な関係の蓄積が重要である。また、児童福祉法では、保護者が保育所を選択する権利を認めている。これは、同じ認可保育所であっても違いがある、ということを前提にしているからである。横浜地裁は、公立保育所民営化に対する判決の中で「児童及び保護者の特定の保育所で保育の実施を受ける利益を尊重する必要があり」と述べている。
保育に欠ける子どもは、親の状況に関係なく、保育を受けられる権利をもっている。しかもその権利は、保育所であればどこでもいいというものではなく、特定の保育所で継続的に保育を受ける権利である。従来の制度では、市町村が保育料を徴収し、保育所は保護者の支払う保育料とは関係なく、必要な運営費を市町村から支給されていた。これは市町村が介在することで初めて可能になる仕組みである。こうすることで、保護者が何らかの事情で保育料を滞納しても、子どもの保育を受ける権利を侵害しない保障を築いていた。それが認定こども園になると失われる。
認定こども園で大きく変わるのは、私立保育所が認定こども園になった場合、もしくは私立幼稚園が私立保育所を併設し認定こども園になった場合である。認定こども園は、保育所と幼稚園の制度をそのまま残し、むりやり認定こども園として一本化を図った仕組みである。認定こども園になっても幼稚園は学校教育法、保育所は児童福祉法、財源も幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省のままである。
ところが、認定こども園は幼稚園と保育所を一体化するための制度である。全く別々のままであれば新たな仕組みにならない。そのため、財源と所管をのぞき、認定・監督権限、入所申請・選考主体、保育料の決定者などは一元化を図った。
公立幼稚園と公立保育所については、所管をのぞけば、現行制度でもさほど大きく変わらない。それに対して、私立幼稚園と私立保育所は大きく異なる。認定こども園は、そのような制度上の相違点を、私立幼稚園にあわせた点に最大の特徴がある。
そのため、私立保育所が認定こども園になると、それまでの認可保育所とは変わり、私立幼稚園と同じ扱いになる。このことは単に事務的な扱いが変わっただけではなく、保育制度に大きな問題をもたらす。
私立幼稚園がだめだというのではない。私立幼稚園は学校教育施設であるため、そのような位置づけにある。ところが私立保育所は、児童福祉施設である。そのような私立保育所を、学校である幼稚園と同じ位置づけにするため、公的保育制度を揺るがす大きな問題が生じる。これは部分的な問題ではなく、公的保育制度に大きな穴が開いたとみるべきである。
児童福祉法にも明記されているように、保育の実施責任は市町村にある。それは単なる精神規程でなく、公立、私立を問わず、市町村が保育料の決定、入所選考、保育料の徴収、保育計画に責任を持っているから保障される実体である。
具体的には、保護者の所得に関係なく保育の質が保障される、市町村単位で緊急度に応じて入所が保障される、保護者の事情に関係なく保育の継続が保障される、市町村単位での待機児解消計画が保障される、ということである。
ところが認定こども園になるとこれらが消滅する。私立保育所が認定こども園になっても認可保育所として残る。私立保育所のままで認定こども園になったため、認定こども園になる私立保育所が増えれば増えるほど、公的保育制度の穴が大きく広がる。
待機児が多い大都市部では、私立保育所の認定こども園化は急速には進まないだろう。その一方で、私立幼稚園が認可保育所を併設し、認定こども園になる例が増えると思われる。このようにしてできた保育所は認可保育所である。しかし、従来からある認可保育所ではなく、認定こども園としての認可保育所であり、市町村との関係がほとんどない施設である。そのようにしてできた保育所は、直接申し込み、保育料は施設が決定、保護者は保育料を施設に支払うという形であるため、イメージとしては元からある幼稚園とほとんど変わらない。まして、預かり保育を実施していたところでは、その傾向が強くなりだろう。状況にもよるが、幼稚園バスを使って、広域から、場合によっては他市町村から保育所児を集めてくるかもしれない。
このような保育所が増えれば、保育所の定員は増えるが、公的保育制度の穴がますます広がる。認定こども園は認可保育所という位置づけを残したままであるため、認定こども園が認可保育所制度を直接、崩していくものになる。政府が当初からこのような認定こども園を想定していたかどうかはわからない。しかし、認定こども園は、本質において、公的保育制度を崩すものである。
(2)認定こども園は財源的保障が制度的に不十分
認定こども園は「法」第三条で示されているように4種類に分かれる。それらの財政措置は以下のようになる。
@第三条第1項第一号施設(当該施設が幼稚園である場合にあっては…)
幼稚園部分については従来通りであるが、幼稚園が持つ保育所的な機能については、どの程度の予算措置がなされるのか不明である。
A第三条第1項第二号施設(当該施設が保育所等である場合にあっては…)
認可保育所部分については従来通りであるが、保育所が持つ幼稚園的な機能については、どの程度の予算措置がなされるのか不明である。また、認可外保育施設(保育所等)の場合、従来通り、予算措置がなされない。そのため、認可外保育施設が幼稚園的機能を兼ね備えても、予算措置はないと思われる。
B第三条第2項一号(イ)施設(当該幼保連携施設を構成する保育所等において…)
認可保育所と幼稚園が一体化した幼保連携施設については、厚生労働省と文部科学省の予算が従来通り支給される。しかし、認可外保育施設の場合、幼稚園予算のみとなる。
C第三条第2項一号(ロ)施設(当該幼保連携施設を構成する保育所等に入所していた子どもを…)
(イ)と同じように認可保育所と認可幼稚園が一体化した幼保連携施設については、厚生労働省と文部科学省の予算が従来通り支給されると説明されている。しかし、この説明は疑問である。(ロ)は0歳から2歳までは保育所等、3歳から5歳までは幼稚園という垂直型の幼保連携施設である。そのため、3歳以上で保育に欠ける子どもは幼稚園に通い、幼稚園に整えられた保育所的な機能を利用することになる。そのため、この部分については、今の認可保育所と比べてどの程度の財源措置がなされるか不明である。また、(イ)と同様、認可外保育施設の場合、幼稚園予算のみとなる。
以上からわかるように、従来と同じような予算措置がほぼ確定しているのは、4種類ある施設のうち、第三条第2項一号(イ)のうち認可保育所+幼稚園の組み合わせだけである。それ以外は、従来と同じように予算措置がないか、法律が策定されたにもかかわらず、予算措置の内容が現時点では不明である。
この法律は、第一条で書かれているように「地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資することを目的」としている。財政措置がない、もしくは不十分では、この目的達成が非常に困難といわざるを得ない。また、財政措置のある施設、ない施設を認定こども園としてまとめてしまうのは、市民に混乱を招く。
このようになったのは、一つは、財政措置のない認可外保育施設を(保育所等として)認定こども園に含めたことによる。もう一つは、幼保一元化と言いつつも、現行の幼稚園、保育所予算でのみ対応したからである。そのため、幼稚園における保育所機能は、保育に欠ける子どもが利用するにもかかわらず文部科学省予算での対応になる。また、保育所における幼稚園機能は、文部科学省予算(就園奨励費等)での対応になりそうだが、その場合、施設に対する予算措置はない。
(3)保育に欠ける子どもの扱いに大きな差がある
保育に欠ける子どもは、市町村が保育する義務を負う。この認定こども園は、その保育を実施する場所の一つである。
認定こども園の種類ごとに、保育に欠ける子どもの受け入れ先を見ると以下のようになる。
@第三条第1項第一号施設(当該施設が幼稚園である場合にあっては…)
幼稚園定員を、保育に欠ける子どもと保育に欠けない子どもにわける。
A第三条第1項第二号施設(当該施設が保育所等である場合にあっては…)
保育所等の定員を、保育に欠ける子どもと保育に欠けない子どもにわける。
B第三条第2項一号(イ)施設(当該幼保連携施設を構成する保育所等において…)
保育に欠ける子どもは保育所等、保育に欠けない子どもは幼稚園になる。
C第三条第2項一号(ロ)施設(当該幼保連携施設を構成する保育所等に入所していた子どもを…)
2歳以下で保育に欠ける子どもは保育所等になる。3歳以上については、幼稚園定員を、保育に欠ける子どもと保育に欠けない子どもにわける。
法律上は、保育に欠ける子ども枠に入っている子どもでも、ABCの認可保育所に通う子どもとそれ以外で大きく扱いが変わる。法律上、認可保育所(私立認定保育所に係る児童福祉法の規定の適用については…)のみに課せられている事項は以下の通りである。
・市町村への送付と市町村による認定(第十三条第2項)(私立認定保育所に係る児童福祉法の規定の適用については…)
保育に欠けると思われる子どもが入所申請した場合、その申込書を市町村に送付しなければならない。市町村は、送付された子どもが保育に欠けると認められる場合は、施設にその旨を通知しなければならない。
・公正な選考(第十三条第2項)
保育に欠ける子どもの申し込みが定数を超えた場合、施設は公正な方法で選考しなければならない。
・応諾義務(第十三条第2項)
保育に欠ける子どもに該当する旨の報告を受けた児童については、正当な理由がない限り、応諾義務が生じる。
・市町村への報告義務(第十三条第3項)(私立認定保育所の設置者は、厚生労働省令の定めるところにより…)
保育に欠けている子どもの入所状況を市町村に報告しなければならない。
・保育費用の決定方法(第十三条第5項)(前項の保育料の額は…)
家計に与える影響を考慮して決めなければならない。
・保育費用の報告義務(第十三条第6項)(私立認定保育所の設置者は、第四項の保育料額を…)
施設が決定した保育料を市町村に報告しなければならない。
・市町村の変更命令(第十三条第7項)(市町村の長は…)
市町村は保育料の変更命令を出すことができる。
・認定の取消(第十条第1項第五号)(認定こども園である保育所又は…)
第十三条第3項、6項、7項に違反した場合は認定取り消すことができる。
上記の点は、認可保育所だけに課せられている。言い換えると、幼稚園の保育所機能を利用している保育に欠ける子どもの場合、選考の公正さは求められず、幼稚園は応諾義務を持たず、保育料は家計への影響を配慮して決められず、市町村はその保育料の変更命令を出せない。
認可保育所が認定こども園になると、先に述べたように公的な保育制度から大きくはずれてしまう。しかし、認可保育所であるため、児童福祉法の規定がある程度残る。それに対して、幼稚園、認可外保育施設が認定こども園になり、法律に基づいて保育に欠ける子どもを預かっても、認可保育所のような児童福祉法上の諸規定は、まったく適用されない。そのため、同じ保育に欠ける子どもであっても、法律上の位置づけが大きく異なってしまう。
幼稚園で実施されていた預かり保育や認可外保育施設では、従来からそのように扱われてきたが、それらは法的に定めていたわけではない。幼稚園の預かり保育は、児童福祉法でいう保育に欠ける子どものための定員ではない。認定こども園では、保育に欠ける子ども用の定員を定め、保育に欠ける子どもがその枠を利用するにもかかわらず、認可保育所に通う保育に欠ける子どもとは全く別の扱いになる。
さらに、認可保育所、それ以外の施設も保育に欠ける子どもの定員、保育に欠けない子どもの定員を定める。認可保育所がその定員を変更する場合、承認もしくは許可が必要である。ところが、それ以外の施設が、定員の合計人数を変えず、各々の定員を若干名の範囲内で一時的に変更する場合は届け出すら不要である(第七条)。
(4)従来の最低基準を下回る
政府が示した「認定こども園の認定基準に関する国の指針(案)」によると、三歳児で合同保育を行う場合、幼稚園が定める職員配置基準1:35を満たせばよい。しかし、保育所の最低基準では1:20であり大幅な基準緩和である。四・五歳児についても保育所は1:30である。
また、施設設備も同様である。現在、調理室を見ると、保育所は必置、幼稚園は任意。屋外遊技場を見ると、幼稚園は必置、保育所はある一定の条件を満たせば必置ではない。認定こども園は、調理室、屋外遊技場とも、ある一定の条件を満たせば必置でない。
この結果、職員配置、施設設備とも、低い方の基準に合わせたと言ってよい。
このようになったのは既存の幼稚園、保育所が認定こども園に移行できるように配慮したからである。その結果、一方の基準を満たせばよいとなった。しかし、認定こども園は、幼稚園と保育所の機能を一体化した施設であり、双方のよい点を生かし、一体化によるメリットをさらに引き出せるようにしなければならない。そのためには、双方の基準を満たすことが基本であり、認定こども園になると、従来の幼稚園、保育所の基準を下回ってもよいとはならない。
(5)幼保一元化について
大阪保育運動連絡会は、幼稚園と保育所の一元化に反対しているのではない。今回の認定こども園に反対しているのである。
少子化が急速に進んでいる地方では、子ども集団を確保するために、保育所と幼稚園の一元化が模索されている。大都市部で待機児童を抱えている地域でも、幼稚園には空き教室が存在している。それを適切に活用すれば、待機児童解消に繋がるだろう。そのようなことをむしろ積極的に促進し、かつ、従来の公的制度をさらに発展させるような認定こども園の法改正が望まれる。
大阪府が定める条例に対する申し入れ
2006年8月1日 大阪保育運動連絡会
(1)基本的視点
この申し入れは、大阪府が策定する条例に対するものである。大阪保育運動連絡会は、認定こども園に反対であるが、その点はいったん保留し、法律に反しない範囲で、実現可能な最善の条例作成を申し入れる。基本的な考え方は、「認定こども園に対する大阪保育運動連絡会の見解」で示した認定こども園の問題を条例で補うという内容である。指針の上乗せ、指針で示していない事項に対する基準などを積極的に条例に盛り込むべきである。
(2)認定について
@府が認定するのは幼稚園+認可保育所を原則とすべき
法律では認定こども園を4種類定めているが、財源措置が明確なのは、第三条第2項一号(イ)のうち認可保育所+幼稚園の組み合わせだけである。そのため、当面、府として認定する施設は、これに該当する施設に限るべきである。無認可施設は認可移行を前提とすべきである。
他施設については、予算措置が明らかになった後、その金額等を法第一条の目的と照らし合わせて上で、対応を判断すべきである。この点については、参議院の付帯決議一で「幼保連携型認定こども園の設置の促進に努める」と明記されており、府はこの精神を尊重し、認定を求める施設に対してはこの方向に誘導すべきである。
A幼保連携施設は原則として同一敷地、隣接敷地とすべき
また、国の指針では、幼保連携施設であっても同一敷地内、隣接敷地に限定していない(国指針第4)。しかし、両施設が緊密に連携をとり、合同保育等を実施するため、原則として、認定するのは、同一敷地内、隣接敷地に限定すべきである。近接敷地の場合は、直ちに認定するのでなく、1年程度試行期間を定め、認定こども園にふさわしいと判断できた場合のみ、認定すべきである。
B認定に際しては市町村の意向を確認すべき
法律では、認定に際して、政令指定都市、中核市以外は意見を聞くとなっていない。しかし、認定こども園になるかどうかは市町村の保育計画等にとって重大な問題である。そのため、認定の申請があった場合、必ず当該市町村の意見を聞くようにすべきである。
? 同様に、認定こども園の指導・監督等は、当該市町村と緊密な連携の元に進めるべきである。
(3)「認可保育所+幼稚園」(第三条第2項一号(ィ))以外の施設について
@「幼稚園や認可」外施設であっても保育に欠ける子どもの定員で預かる子どもは私立認定保育所と同じ扱いにすべき
認可保育所+幼稚園以外の施設を認定するのは、例外的措置とすべきである。たとえば、その地域で少子化が進み保育に欠けない子どもが数名程度しか見込めず幼稚園の設置が困難な場合等である。
これらの施設で重要なのは、保育に欠ける子どもの扱いである。「認定こども園に対する大阪保育運動連絡会の見解」で示したように、認可保育所以外では、保育に欠ける子どもがであっても、認可保育所で保障されたような扱いを受けることができない。そのため、少なくとも認定こども園に通う保育に欠ける子どもは、通う施設が異なっても同じ状況におかれるように条例で定めなければならない。具体的には、幼稚園、認可外保育施設で保育に欠ける子どもの枠に入所申請した子どもについては以下のように扱うべきである。(個々の内容は見解を参照)。
・市町村への送付と市町村による認定 ・公正な選考・応諾義務・市町村への報告義務
・保育費用の決定方法・保育費用の報告義務・市町村の変更命令・認定の取消
A幼稚園、認可外保育施設の定員変更も承認が必要とすべき
また、幼稚園、認可外保育施設が保育に欠ける子どもの定員を変える場合は、すべて都道府県に承認を得ることとする。
(4)職員配置について
@職員配置は保育所と幼稚園、双方の基準を満たすべき
職員配置は、認可保育所と幼稚園、両方の基準を満たすようにすべきである。認定こども園になることで、どちらか一方に合わせるのではなく、双方の基準を下回らないようにするためである。たとえば、3歳児以上で合同のクラス編成を行う場合だと、1クラスは35人以下、かつ職員と子どもの基準は、3歳児1:20、4・5歳児1:30となる。
A大阪府、市町村が独自に設定している配置基準を下回らないようにすべき
都道府県が国の最低基準を上回る基準を独自に設定している場合は、その基準を認定こども園も満たすようにすべきである。同様に、市町村が独自に基準を定めている場合も、その基準を見たさなければならない。
3.幼保一元化にふさわしい職員配置を確保すべき
上記1、2はあくまでも最低限の基準である。幼保一元化という新たな試みで、かつ長時間児と短時間児を無理なく保育するためには、本来であれば、保育所と幼稚園の配置基準よりも高いレベルにすべきである。たとえば、0歳児3:1、1歳児4:1、2歳児5:1、3歳児1学級15人以下、4・5歳児1学級20人以下とする。又複数担任制なども考慮する。
府全体の予算を速やかに見直し、このような配置が可能になるように子育て予算を全体として増額すべきである。
(5)施設設備について
@施設設備は幼稚園と保育所、双方の基準を満たすべき
施設設備は、認可保育所と幼稚園、両方の基準を満たすようにすべきである。理由は職員配置と同じ。現在、保育所は調理室が必置、幼稚園は屋外遊技場が必置である。そのため、認定こども園は、調理室、屋外遊技場とも必置とすべきである。
A大阪府、市町村が独自に設定している施設基準を下回らないようにすべき
? 施設の面積などで、都道府県、市町村が独自の基準を定めている場合は、認定こども園もそれを満たさなければならない。
(6)子育て支援事業について
@子育て支援事業に対する財源措置を行うべき
法律では、子育て支援事業を義務化しているが、それに対する財政措置が不明瞭である。国の財政措置が明確になればそれを活用すべきだが、財政措置が不十分な場合は、府の単独施策(子育て支援事業)を認定こども園が受けられるようにし、その施策の拡充を法の主旨に基づいて図るべきである。
(7)管理運営等について
@選考が公正に行われるようにすべき
認定こども園は施設ごとに入所の選考を行う。その選考方法について、市町村はあらかじめ指針を出すべきである。また、認定こども園は、選考方法をあらかじめ公開すると同時に、結果を市町村に報告しなければならない。そして、保護者から申請があった場合、認定こども園は、当該子どもの選考結果について説明しなければならない。
A保育料の滞納が直ちに退所につながらないようにすべき
認定こども園では、保護者が何らかの事情で保育料を滞納した場合、退所につながる。そのようなことが発生しそうな場合、認定こども園は市町村にそれを伝えなければならない。その連絡を受けた市町村は、事情を確認し、他の認可保育所に転所させる、もしくは市町村が保育料を一時的に立て替え保育の継続を確保する等の対策をとらなければならない。また、あらかじめそのようなことが生じうることを保護者に周知徹底しなければならない。
(8)在園児の取り扱いについて
@在園児が不利にならないようにすべき
認可保育所が認定こども園になると、位置づけが大きく変わる。そこで、在園児をどうするのかが問題になる。たとえば、認定こども園は保育料を施設ごとで設定する。そのため、認定こども園になると保育料を変えることができる。そうすると認可保育所に入ったにもかかわらず、途中で認定こども園になったため、保護者は市町村が定める保育料よりも高い保育料を払わなければならないという事態が生じる。
このようなことを防ぐためには二つのことが必要である。一つは、保護者が他の認可保育所に転所を希望する場合、優先的に認めること。もう一つは、保護者の合意がない限り、在園児については認定こども園になる前の条件で保育を継続することである。たとえば、保育料は卒園するまで、市の基準で徴収することになる。この場合、認定こども園にとっても赤字にはならない。
(9)大阪府に委員会を設置すること
@委員会を設置し、有識者、関係者の意見を聞きながら進めるべき
法律に基づき大阪府は認定、報告書の徴収、認定の取り消し等を行わなければならない。また、本申し入れ書に書いた(2)の3、(6)の1等も行うべきである。これらを公正に行うため、有識者、市町村、その他関係者からなる委員会を設置し、そこでの議論をふまえて実施すべきである。
A委員会で条例内容の検証を行うべき
認定こども園の水準は都道府県の定める条例によって大きく影響を受ける。そのため、設置した委員会では、府下の認定こども園の状況を把握し、府の定めた条例の妥当性を検証し、必要があれば改正を提案すべきである。
(10)市町村に設置する一元的な窓口について
@認定こども園を担当する一元的な窓口を設置すべき
認定こども園は4種類、想定されているが、それら認定こども園を一元的に扱う窓口を設置すべきである。市民からの相談、苦情、認定こども園の情報は一元的に扱うべきである。また、保育に欠ける子どもの認定、本申し入れ書(3)(7)(8)に関わることも一元的に管轄すべきである。
A幼稚園、保育所の情報もこの窓口から提供すべき
幼稚園、保育所に関する情報は、おのおのの市町村担当課から公開されるが、同時に認定こども園の窓口からも提供すべきである。
B大阪府と連携して認定こども園の現状を把握すべき
法律では、認定こども園の状況を把握するのは府の責任である。しかし、地域で直接関係するのは市町村である。そのため、市町村と府は緊密な連携をとって、認定こども園の状況把握に努めるべきである。
(11)市町村に委員会を設置すること
@委員会を設置し、有識者、関係者の意見を聞きながら進めるべき
法律では認定こども園の認定、取消等は府が行うことになっている。しかし、それらについて市町村も積極的に関与すべきである。そのため、有識者、関係者からなる委員会を設置し、地域の実態、市民から持ち込まれた苦情、都道府県と連携して把握した認定こども園の状況などをもとに、公正に判断すべきである。
(12)よりよい条例と基準づくりへ最大限の努力をすること
@10月までに急いで条例を作るのではなく時間をかけて審議を尽くすべき
政府は9月中に都道府県で条例を作るようにスケジュールを定めている。しかし、総合施設合同検討会議、総合施設モデル事業評価委員会での2年間にわたる調査、議論をふまえた上で、政府は法案を作成している。大阪府も条例策定に際して、十分が調査、議論を尽くすべきである。
待機児童解消は急がれるが、既存の認可保育所制度に基づく整備で十分対応できる。また、幼保一元化施設の設置が地域から望まれる場合もあるが、認定こども園を利用しなくても、実質的な一元化は運用によって可能である。とりあえずは、幼稚園と保育所、双方の基準を満たす形でスタートさせれば問題ない。
A条例策定の委員会を設置し、また府民の意見を集約すべき
有識者、市町村、関係者からなる条例策定のための委員会を設置すべきである。また、様々な方法で関係者、府民の意見を集約すべきである。
B条例に基準等の向上に向けて大阪府・市町村が努力する義務を盛り込むこと。
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