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保育をめぐる情勢
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緊迫する情勢を正しくとらえよう
日本の宝−公的保育制度を守ろう

(10.12.16)
大阪保育運動連絡会会長 中山 徹

大阪保育運動連絡会会長 中山 徹

サービス業化か公的制度堅持かを議論すべき

 2010年6月に「子ども・子育て新システム制度案要綱」が提出され、現在、法案提出に向け、着実に審議が進んでいます。政府は新システムに関する法案を2011年3月に提出すると閣議決定し、2010年10月ごろから、こども園の具体的なあり方、こども指針の内容、資格の統一などについて、本格的に議論を進めています。
 3月に提出する法案ですが、基本的には6月に提出された制度案要綱の具体化という形で検討されています。そのため、直接契約制(保護者と施設が直接契約を結ぶ)、保育料は応益負担(収入に関係なく一定の保育料)、各施設ごとで保育料を決定、指定制(基準さえ満たしておればだれでも参入できる)、使途制限の撤廃(収益を何にでも使える)等は新システムの前提とされており、3月に提出される法案は公的保育制度と全く相いれない内容になるでしょう。まだ細部は決定していませんが、議論されているこども園は保育ではなくサービス業と考えるべきです。
 2010年11月にこども園について5つの案が示されました。マスコミはどの案を採用するかという議論を始めていますが、ここに議論を集約させるのは間違いです。5つの案は少しずつ異なりますが、どれになっても公的保育制度が解体され、保育がサービス業化するという点では共通しています。問題の本質は現行の公的保育制度を充実させるのか、保育をサービス業化するのかにあります。

法案提出阻止に全力を注ごう

 政府は3月に法案を提出するとしています。もしこのまま法案が提出され、可決されるようなことがあれば、公的保育制度はほぼ解体され、保育はサービス業化します。日本で築き上げてきた公的保育制度が継続されるかどうかは、この3ケ月にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
 まず大切なことは、少しでも多くの人に、新システムの問題点を知ってもらう学習会を開催することです。保護者会、組合、法人、保育連など様々な単位で学習会を企画しましょう。その上で、新システムに反対する意見表明を行いましょう。その反対表明を、市町村保育課、市町村議会、市議・府議・国会議員等に届けましょう。可能であれば地域のマスコミなどにも流してください。また、今まで連絡が取れていなかった保育所、幼稚園などに働きかけ、新システムについて訴えましょう。それらの保育所・幼稚園にも動いてもらいましょう。全国的な反対運動、署名活動にも取り組んでください。全国レベルでどれだけ反対の世論を広げられるかが大切です。
 日々の暮らしが大変なのは十分承知しています。しかし、公的保育制度が残るかどうかは3ケ月の取り組みで大きく左右されます。以前にも同じような状況がありました。当時も全国的な反対運動が取り組まれ、政府のたくらみを大半で阻止し、認定子ども園という中途半端な制度にとどめました。公的保育制度に穴は空きましたが、穴は小さく、公的保育制度は全体として残りました。
 今回政府は、公的保育制度を根絶する案を示しています。そのため前回以上の反撃が必要ですが、同時に、前回以上に争点が明確です。政府のたくらみを多くの人に知らせることができれば、必ず阻止できると信じています。公的保育制度は日本の宝物です。子どもたちに公的保育制度を残すため、力を貸してください。



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